焚き火をする際に指定された場所でしなければいけないキャンプ場があります。
それはただ焚き火によって火事になることは勿論ですが、他にも理由が存在します。
それがツチクラゲと言うキノコによる「ツチクラゲ病」です。「何それ?」と聞いたことがない人は大勢いると思います。
実はこれが山林に被害をもたらす危険な病気として、キャンパーには知っていただきたいことなのです。
今回は焚き火によるツチクラゲ病について紹介をしていきます。
ツチクラゲとは
ツチクラゲは、子嚢菌門チャワンタケ目のツチクラゲ科ツチクラゲ属に分類されるキノコの一種で、茶色~茶褐色の波状にうねりのある形をしています。
大きさは直径5~10cm程度で、夏~秋にかけての梅雨や秋雨の時期に発生し、特にマツ属(アカマツ・クロマツなど)、カラマツ属・モミ属などの針葉樹に群生しています。
また、乾くと縮むと黒く変色して堅くなり長期間腐らなくなります。
ツチクラゲ病とは
ツチクラゲ病はツチクラゲというキノコが起こす病気です。主にキャンプ場や別荘地などの針葉樹のある山林で発生し問題となっています。
そのメカニズムは焚き火などで地面が暖められることで、土壌に潜んでいたツチクラゲの胞子が発芽し菌糸が土の中を広がり始め、やがて菌糸は同心円状に広がり木の根株に到達し寄生することで、木を枯らしていきます。
ツチクラゲ病の被害
ツチクラゲ病に実際に被害にあったと言う報告がこの間のtwitterでありました。
先程にも記述しましたが、ツチクラゲ病は針葉樹のある山林で発生しています。主にキャンプ場や別荘地などで焚き火やバーベキューによる熱によって木の近くにある地面が暖められることが原因です。
一度被害が出てしまえば防除が難しく、次々に広がって他の木を枯らしていき被害を拡大させていきます。ただ拡大しても数年もすれば病気は自然に消滅します。
他にもツチクラゲ病の被害によりマツ科などの針葉樹が弱ると、マツ枯れ(マツ材線虫病)の病原であるマツノザイセンチュウを媒介するマツノマダラカミキリが衰弱した木に産卵し、さらに衰弱が進行して枯死します。
ツチクラゲ病が発生して木が枯れてしまうとキャンプ場や別荘地などで隣の敷地にまで被害が及びトラブルの原因になることや、林業にも大きな被害が出るので注意しなければいけません。
ツチクラゲ病の対策
ここで私達個人ができる対策としては以下のとおりです。
- キャンプ場の指定された場所以外では焚き火をしない
- 高さのある焚火台と焚火シートを必ず使う
- 木の近くで焚き火をしない(特にマツ科などの針葉樹の近くではしない)
- 残った炭は指定の場所に捨てるか持ち帰る
基本的には常識の範囲内のことなので、特別難しくはありません。
ただ簡単なことだからと言って対策を怠るとツチクラゲ病によって被害が起こしてしまい、トラブルの原因になるのできちんとルールやマナーを理解して対策をしておきましょう。
最後に
私達は普段何気なくキャンプやバーベキューを楽しんでいますが、きちんとルールやマナーを知らずにいるとツチクラゲ病のような聞きなれない病気を起こしてしまう可能性があります。
皆さんくれぐれも注意しながらキャンプやバーベキューを楽しんでくださいね。
因みにキャンプでの基本的なマナー・ルールを知りたい方は下記の記事から↓。