焚き火・バーベキューでアルコール類や石油類は事故を起こす!着火剤として危険な理由

キャンプ関連

焚き火やバーベキューは開放的な空間で日頃のストレスを発散させたり、仲間でワイワイ楽しむにはもってこいなイベント。

ただ、道具さえ揃えてしまえば知識のない人でも手軽に始められるのが怖い所です。

特に火が点かなかったり、火力が弱いからといって燃やせる材料を見つけてはやたらに投入して試してしまいがち。

それが間違った危険な行為という認識がありません。

最近ではバーベキューに炭にアルコールを吹きかけて、爆発的に炎上したことで衣服に燃え移り、亡くなってしまった事故がありました。

そのため、このような事故が起こらないためにも、いくらバーベキューとは言えきちんとした知識を身に付ける必要があります。

本記事では焚き火・バーベキューにアルコール類・石油類が着火剤として危険な理由を解説しますので、これから火の取り扱いのする方は参考にしていただき、火事にならないよう十分に気を付けて楽しみましょう。

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実際に起こった事故

実際に事故が起こったのは2023年5月24日福岡県柳川市にある美容系の専門学校で、経緯としては専門学校のイベントで教員と生徒達でバーベキューをしていた所、コンロの火が消えているのに気が付いた教員が、火力を上げようと炭に向かって消毒用アルコールスプレーを着火剤代わりにかけて激しく炎上。周りにいた4人の生徒の服に燃え移り、救急搬送されうち1人が敗血症性ショックで亡くなられました。

アルコールの危険性を全く知らなかったがために起こった事故で、コロナ禍で消毒用として私達の身近にあったものがまさかこのような大変危険な事故に繋がるとは思いもしなかったのでしょう。

「火を扱う」ことはそれだけきちんとした知識を身に付けないといけないのです。

アルコール類・石油類(ガソリン・軽油・灯油)が着火剤として危険な理由

実際に事故の原因となったアルコール類や他にもよく燃える燃料として石油類がありますが、これらは危険物第4類という消防法で定められた引火性液体のことです。

これらが着火剤として危険な理由として、まずは性質を知る必要があるので見ていきましょう。

アルコール類(エタノール&メタノール)の性質

アルコールは炭化水素の水素原子をヒドロキシ基 (-OH) で置き換えた物質の総称で、主にエタノール(エチルアルコール)とメタノール(メチルアルコール)に分けられます。

エタノール(エチルアルコール)
  • 常温で無色透明な液体
  • 特異な香気がある
  • 揮発性が高い
  • 水にも有機溶媒にもよく混ざる
  • 殺菌・消毒効果がある
  • 経口、経皮及び吸入投与による急性毒性が低い
  • 主に消毒用(合成アルコール)やお酒(発行アルコール)として使われる
  • 沸点78.5℃、融点-114.14引火点13℃
メタノール(メチルアルコール)
  • 常温で無色透明な液体
  • 特異な香気がある
  • 揮発性が高い
  • 水にも有機溶媒にもよく混ざる
  • 人体に有害のなので殺菌消毒には使えない
  • 経口、経皮及び吸入投与による急性毒性が高く、原液は毒物及び劇物取締法による「劇物」に指定
  • 主に工業用の燃料や接着剤、薬品、塗料、合成樹脂等の原料として使われる
  • 一部の金属を腐食、ゴム材は劣化する
  • 沸点65℃、融点-97.8引火点12℃

石油類(ガソリン・軽油・灯油)の性質

石油類とは、原油から蒸留(石油精製)して得られる炭化水素の混合物の総称で、一般の人が主に扱うガソリン、軽油、灯油も石油類の一種です。

ガソリン
  • 常温で無色透明な液体
  • 非水溶性
  • 揮発性が高い
  • 特有の臭気がある
  • 静電気が発生しやすい
  • 空気より重く、地面などの低いところに溜まり易い
  • 主に自動車の燃料に使われる
  • 沸点40~220℃、引火点-40℃以下
軽油
  • 常温で無色透明または薄黄色な液体
  • 非水溶性
  • 揮発性は低い
  • 特有の臭気がある
  • 静電気が発生しやすい
  • 空気より重く、地面などの低いところに溜まり易い
  • ディーゼル燃料とも言われる
  • 主にディーゼルエンジンの燃料に使われる
  • 沸点200~350℃、引火点45~75℃
灯油
  • 常温で無色透明な液体
  • 非水溶性
  • 揮発性は低い
  • 特有の臭気がある
  • 静電気が発生しやすい
  • 空気より重く、地面などの低いところに溜まり易い
  • 元来はランプや照明器具などの灯火用の燃料として使わていた
  • 主に石油ストーブの燃料に使われる
  • 沸点150~320℃、引火点40~60℃

火事が起こりやすいのは引火点の低さにある

先程のアルコール類や石油類の引火点に注目してみると、どれも低いことがわかります。

この引火点が焚き火やバーベキューでの火災事故の危険に繋がる重大な部分なのです。

焚き火やバーベキューの炎は最低でも260℃はありますので、簡単に引火して瞬く間に広がり大きな炎となり、火災を起こしてしまう危険性がとても高いのです。

必要用途以外の使用をしないことや取り扱いには十分に気を付けることが求められます。

引火点とは、可燃性液体に点火源(火気や静電気などの火の元)を近づけたときに燃焼が起こる最低温度のこと。

焚き火やバーベキューで火災の予防

焚き火やバーベキューで火災の予防をするにはどうすればよいのでしょうか。

先程のアルコールでの火災事故の事も考えると

  • 火に引火物(アルコール類や石油類など)を近づけない
  • 消毒用アルコールを手に吹きかけたら、完全に乾くまでは近づかない
  • 水が使える所の近くでやる
  • 水を張ったバケツまたは消火器を置いておく

これくらいの準備はしておきましょう。

衣服に火が燃え移った場合

衣服に火が燃え移った場合はどうすればよいのでしょうか。

衣服をただちに脱ぐ
→近くに水または消火器があればそれをかける。ない場合は地面に燃えている所を押しつけながら左右に転がり、その際に顔を両手で覆うようにして火傷を防ぐ。
→その後、状態に関わらず救急車・消防車を呼び、医療機関で適切な治療を受けて下さい。

※石油類(ガソリン、軽油、灯油など)の火災は水で消すことができないので、消火器を使いましょう。

火起こし専用のアイテム

焚き火やバーベキューでアルコール類や石油類を着火剤として使う間違った方法がありましたが、炎が弱っていたり、なかなか着火しない場合はきちんと火起こし専用のアイテムがありますのでそちらを絶対に使うようにして下さい。

それでは火起こし専用アイテムを紹介します⇩

火が着きやすい&長時間燃焼の炭

【Weber】チャコールブリケット

火が着きやすく、長時間燃焼もする炭で、BBQや焚き火で大変便利です。

着火剤

【SOLSTICKAN】ファイヤーライターズ

火起こしはライターが手元になかったり、なかなか火が着かないことで苦労しますが、なんとこれはマッチタイプの着火剤です。火を着けたらあとはそのまま火床に入れるだけ。

【FIRE SIDE】ドラゴン着火剤

ストレスなく確実に着火させることができるため、焚き火や薪ストーブ初心者にもオススメの収納しやすいキューブ状の着火剤です。

【CAPTAIN STAG】ファイアマックス着火剤

無臭、強力、すぐ着火の3拍子揃ったキャンプ・バーベキューの炭火に最適なゼリー状の着火剤です。容器内に揮発性混合ガスがたまりにくい逆止め弁付き。屋外でも炎が見えやすいオレンジ色の炎。着火剤が飛び散りにくい飛散防止剤入り。

火起こし器

【Weber】ラピッドファイヤーチムニースターター

煙突型なので、下から空気(酸素)を取り入れて上昇気流を発生せることで、素早く簡単に着火が可能な便利なアイテムです。

バーナー

【SOTO】フィールドチャッカー ST-Y450

発熱量は1.8kW(1,550kcal/h)の高火力を放出し、薪や炭に素早く火を着けたい時に役立ちます。

アルコール類・石油類は専用のキャンプ道具のみで使う

アルコール類・ガソリン類が使えるのは専用のキャンプ道具のみです。

それがこちらです⇩

アルコールストーブ

アルコールストーブは、アルコール(エタノールとメタノール)を燃料とした携帯用コンロです。コンパクトで持ち運びがしやすく、液体に火を近づけるだけですぐに使えます。火力の調整や消火はフタを開閉することで行うことが可能。

ガソリンバーナー

ガソリン式のシングルバーナーで準備にポンピングをする手間がかかりますが、気温が極端に低い寒冷地でも火力を安定して使用できます。

燃料漏れや部品が早く劣化する恐れもあるので、定期的にメンテナンスをしなければいけません。

ガソリンランタン

ガソリンランタンは、冬場での寒さに厳しい場合でも点火がしやすいうえ、安定して燃焼させることができます。

一方、点火するには「ポンピング」と「空焼き」という作業が必要になります。

オイルランタン

オイルランタンは、「灯油」や「パラフィンオイル」などを灯芯に染み込ませて燃焼させて灯すランタンのことです。

芯の長さを調整して明るさを変えられ、ガソリンランタンよりは取り扱いや手入れが難しくないので、初心者でも気軽に使えます。

最後に

焚き火やバーベキューで皆でワイワイ楽しく食事をするのは思い出作りになること間違いないですが、同時に楽しさ優先で火を扱うことに対する意識が低いことも見受けられます。

実際にバーベキューで火災事故になって亡くなられたケースもありますので、くれぐれも事故を起こさないように気を付けて楽しみましょう。

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